旅のしおり
旅が好きだ。
そのせいか、奥の細道の序文も好きだ。
計画力があまり無いので、個人で旅行に行くときには、
往復の交通手段と宿だけ確保して、詳細は現地できめることが多い。
海外に行くときでも、どこに行くか決めずに彼の地に降り立ってしまう。
そういう、計画に幅を持たせた旅が特に好きなのだと思う。
計画に幅があると、旅先で思いがけない発見が沢山ある。
興味を持って訪れたものの、そこまで時間を使うと思わなかった場所に、
あまりにも長く居座ってしまってそれを笑いあったり。
遺跡を見ようと訪れた場所で、何気なく入ったお店の食事が忘れられない味になったり。
旅先に住む人たちの日常が、自分の日常とは似て非なるものだと気づいたり。
そういう予想外の展開が私を楽しませる。
でも、仕事等で旅行プランニングを任された時は違う。
食事をするお店は勿論のこと、拠点からの細かい移動方法や所要時間、
予定が狂った時に実現可能な代替のプランまで調べつくす。
パズルのように日程を組み、色んな提案を盛り込んで、
参加者に選んでもらうような要素もつくる。
「これは良い!」と思える計画書が出来上がる。
実は、それも楽しいのであるが、
当日の旅行自体は計画をどこまで実現できるかのただのゲームになってしまう。
今夜思い立って、幹事担当に割り振られている社員旅行のプランを立てた。
のっぴきならない理由で私は参加できないので、
パズルの楽しみを味わうだけの良いとこどりである。
当日のことは参加予定の幹事の度量と采配にお任せ!
自分では作り出せない幅を、半ば強制的に作り出せるので、
計画した社員旅行に不参加、というのは案外最大多数の幸福となるかもしれない。(?)